スズメ

今からすごい話をする

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長野に帰省する日の早朝、私は大切な指輪をなくした
電車に乗ってすぐにその指輪が無いことに気づいたので、家から駅の間のどこかで落としてしまったようだ
このまま長野にしばらく帰ってしまうし、もう見つからないだろうなと落ち込む

半月ほど経ったある日のこと
その日うちのマンション(東京)では入居の引越し作業が行われていた
夕方でかける用事がありマンションから出ようと思ったら、近くでちゅんちゅんちゅんちゅんちゅんちゅん鳥の鳴き声が聞こえたのです
およよ?と振り返るとスズメが2羽飛び回っていました
きっと開けっぱなしの扉から迷い込んでしまったのだな…
見えていないのだろうか…大きなガラス張りの壁に衝突というか突撃というか、
激突を何度もくり返し行っているため目に見えて弱っているのがわかりました
ガラスにも糞がついていたし、苦しそうだし暑そうで本当にかわいそうだった…

スズメが飛んで通れるような解放されている場所はちょっと離れたところにあるんだけど気づかないらしい
飛び回っている付近はオートロックだから、そこを解放してめちゃくちゃ話かけてみたんだけど気づいてもらえない
もう時間がなかったので、ちゃんと出られるようにと思いながら外出した

数時間後、夜になってマンションに戻るとまさかのまだ逃げられずに疲弊したスズメがいた
そしてよく見ると色々なところにお米が置いてあった
調べたらスズメはお米が好物らしく、優しい誰かが心配して置いていってくれたみたいだ
スズメは手で触ってはいけないそうなので捕獲も難しい
虫とり網があればなあ…
お子さんに1日2度目の虫取りを誘われたが断っちゃったと言っていた山さんのことを思い出した

ひとまず水!
風呂に置いてある桶に水をくんで、少し氷を入れてお米の隣に置いてみた
飲むもよし、浴びるもよしだぞ!という思いで置いたが一切興味を持たれなかった

まあまあなタコ顔で酔っ払ってはいたが、
絶対にプリズンブレイクさせるべく頑張ることにした

ちなみにオートロックがあいただけではスズメは出られない
その先にもう一発なぞの空間がある
そしてその空間の外につながるドアは開放できない上にものすごく重い

お酒で縮まった脳みそをフル回転させて、最善を考えた
まずはその空間までスズメを移動させる
あとはそのドアを手で開け放して逃げさせる

これがなかなかうまくいかない
スズメは視力が0なのかというくらい思い通りにいかなかった

数十分の葛藤の末、1羽だけその空間への格納を成功させたが、
当たり前に話しかけているので不審者すぎるし、宅配業者さんや住民の方も帰ってくる
そのたんび軽く説明をしていたが、タコ顔がなにを言っても頭のおかしいやつがいるとしか思われていなそうでちょっと切なかった
でも心配してくれて仲良くなったおじさんもいた

開放できないドアを手で開けていても出ないことがわかったので、はいていたサンダルをストッパーにしてなんとか開放させ
ここからまたなが〜いスズメとの追いかけっこがはじまった

30分ほど経って、もう心が折れそうになったところでパタパタパターーー!!!!って1羽が外に出てくれた!
ものすごい感動したのを今でも覚えている
が、すぐ外の塀に止まって動かない
もう体力がなくて飛べないんだ…
かなしい…
お別れがさみしんか?とかブツブツ話しかけてたんだけど本当に飛んでいかなくて
もう1羽もいるしで一旦マンションの中に戻った

もう1羽も出さんとと思って探したけどいなくなっていた
きっと出口を見つけて逃げられたのだろう

だいぶ疲れたのでわたしも部屋に戻った
よく寝られた

翌日
おでかけしようと思って部屋を出たら…




スズメの恩返しキターーーーー!

恩返しと言ってしまっているところが本当に恩着せがましい

スズ吉…ありがとうな